更新日:2025年06月27日
留学?海外研修
2025年度 日本中国文化交流協会大学生訪中団を終えて
2025年度 日本中国文化交流協会大学生訪中団に参加された方のレポートをご紹介します。
国際学部2年 M. A さん
私は2025年5月24日から30日にかけて、日本中国文化交流協会、中国人民対外友好協会、中国日本友好協会が主催する大学生訪中団の一員として、中国(広州?昆明?北京)を訪問した。このプログラムの存在は、大学の先生からの紹介で初めて知った。文化的?人的交流に以前から関心があった私は、プログラムの趣旨に強く惹かれ、迷うことなく参加を決意した。実際に現地を訪れ、さまざまな経験を通じて得た学びや気づきは、机上の知識では決して得られない貴重なものであった。
旅の始まりは広東省の省都?広州。ここでは、清代の宗族祠堂建築の代表とされる「陳家祠」を訪れた。石彫や木彫の精巧さ、装飾の美しさは圧巻で、中国の伝統工芸の奥深さに魅了された。建物そのものが歴史を語るようで、写真では伝わらない臨場感を肌で感じた。
夕食は、広州で有名な老舗料理店『泮渓酒家』にて。本格的な広東料理を、美しい庭園を眺めながら味わうことができた。静かな水面に映る灯りと幻想的な夜景の中での食事は、まるで映画のワンシーンのようであり、五感を通じて文化を体験する特別な時間となった。
続く訪問地は、雲南省の省都?昆明。ここではまず、「雲南少数民族村」を訪れ、タイ族、ナシ族、ワ族など代表的な少数民族の文化や風習に触れた。それぞれの民族が独自の衣装や音楽、踊りを持ち、来訪者を迎えてくれる様子は非常に温かく、民族ごとの価値観の違いと共存の知恵を感じた。実際に踊りの輪に加わるなど、参加型のプログラムが多く、見て学ぶだけではない深い理解が得られた。
夕食は「海底撈」という現代的な火鍋レストランでいただいた。モダンなインテリアとサービスが印象的で、伝統料理でありながら、非常に洗練された食文化の一面を垣間見た。また、ショッピングモール内の至る所に日本のアニメキャラクターが飾られており、日中の文化的なつながりを身近に感じ、自然と笑顔がこぼれた。
最も心に残ったのは、雲南民族大学での現地学生との交流である。バスを降りた瞬間に、事前に決められていた中国の学生とのペアが発表され、私は中国人の女子学生とペアになった。彼女はとても親切で、キャンパス内の博物館や施設を丁寧に案内してくれた。言葉の壁はあったが、お互いに工夫しながら意思疎通を図り、次第に距離が縮まっていった。滞在中にWeChatを交換し、帰国後もメッセージのやり取りが続いている。このように、短時間で築かれた友情は、何よりの宝物となった。
最後に訪れたのは首都?北京。ここではまず、万里の長城(居庸関)に登った。急な傾斜と不規則な階段は想像以上に厳しく、登るのに苦労したが、登頂後に広がる絶景はそれまでの苦労すべてを報いてくれた。特に、南壁と北壁の高さの違いが防衛のために設計されていることを現地ガイドから聞き、実際にその構造を体感できたことは非常に興味深い経験となった。歴史的建造物としての壮大さだけでなく、その機能性に感嘆した。
また、北京語言大学や中国人民大学では、ディスカッションや文化パフォーマンスを通じた交流会が開催され、現地の大学生たちと直接対話する機会が得られた。特に印象に残っているのは、日本や中国に対する相互のイメージや文化に関する率直な意見交換だった。お互いの違いを認めながらも、共通の未来に向けて理解を深めようとする姿勢に、国境を越えた連帯感を感じた。
この訪中団には、全国各地の大学から多様なバックグラウンドを持つ学生たちが集まっていた。文系?理系、首都圏出身?地方出身など、専門や出身、そして価値観も異なる仲間たちとともに行動する中で、互いの視点や考え方に刺激を受け、多様性の重要性を実感した。時には深夜まで語り合い、真剣に将来や国際問題について議論を交わす場面もあった。旅が進むごとに信頼関係が築かれ、1週間とは思えないほど濃密な時間を共有することができた。
この訪中で得た最大の学びは、「現地で直接見て、聞いて、感じること」の大切さである。ニュースやSNSでは捉えきれない「生きた中国」の姿に触れ、そこに生きる人々の温かさや誠実さに心を動かされた。文化や価値観の違いを越えた交流が生まれる瞬間は、言葉では表現し尽くせないほど感動的であり、これこそが国際交流の真の意義であると実感した。
この経験を今後の学びや進路に活かすとともに、自分自身が日中の懸け橋となるような存在になることを目指して、引き続き努力していきたい。そして、互いを理解し、尊重し合える社会の実現に少しでも貢献できるよう、自分の視野をさらに広げていきたいと思う。